皆既月食の晩に

07年8月28日は皆既月食だった。
食のさなかの月は茶色く錆びついたような鈍い輝き。
鉄の塊のような重量感すら漂う球体も、下から軽やかになってくる。
月が翳ると星が驚くほどの数で主張しはじめるのだ。
宇宙とはそんな世界。

凪いだ静かな海の中でもなにかを感じるのだろうか
魚たちが水面で跳ねる不思議な時間



ゆっくりと地球の影が移動して、いつもの白銀が戻ってきた。
光の強さはその実体を何倍にも大きくみせるかのよう。